コストメリットが高いFinal Cut Pro X

今や多くのソフトがサブスクリプション形式に移行してソフトウェアの権利を買うというよりは毎月の使用料を払う形式になっています。
月額が安く使えるように設定されているので、ともすると安い!と思わせる価格設定に見えますが、実際に本当にそうなのか?ちょっと比較してみました。

Adobe Premiere Pro¥2180(税別)*
Avid Media Composer¥6375**

*Premiere Pro単体の価格
**1年契約の月額費用。3年契約にすると月額4472となる。

一方買切り型のライセンスもまだまだ存在し、EDIUSやMedia Composerにも用意されています。FCPXも買取型のライセンスです。

Grass Valley EDISU Pro 8¥64584(税込)
AVID Media Composer¥166000(税込)
Apple Final Cut Pro X¥34800(税込)

さて、月額分と買取分を単純に並べても金額比較にはなりません。
まずは、月額分を年額にしてもう少しわかりやすい数字にしてみましょう。

Software1year2year3year
Adobe Premiere Pro¥26160¥52320¥7848
Avid Media Composer(1year)¥76500¥153000¥229500
Avid Media Composer(3year)¥53364¥107328¥160092

1年、2年、3年という数字で比較してみました。
結構な金額になっている事がわかります。
これなら、買い切り型の方がメリットがある様にも見えなくもありません。
1年で比較するとPremiere Proはコストが低い事がわかります。

ソフトウェアはバージョンアップする
編集系ソフトウェアは、多くが1年ごとのメジャーアップデートが行われます。
サブスクリプション型であれば、バージョンアップ代も含めた月額費用に盛り込まれていますが、買い切り型の場合バージョンアップ費用が発生します。
買い切り型のソフトのバージョンアップ費を見てみましょう。

Grass Valley EDISU Pro 7 > 8¥26784(税込)
AVID Media Composer 年間サポートプラン¥35900(税込)
Apple Final Cut Pro X—***

***FCPXは、発売されてから(2011年6月)から、一度もバージョンアップに伴う費用は発生していません。

となっています。
さて、数字をこれだけ並べてみるとどうでしょうか?

買い切り型のコスト、バージョンアップのコスト、年額のコスト…
Final Cut Pro Xのコストの低さが際立っているのがわかると思います。
FCPXは初期導入費だけで、バージョンアップ含めて最新版を使い続けることが出来ています。つまりFCPXは使えば使うほど運用コストが下がっていくプロ用編集ソフトということになります。
また、編集ソフトだけでなく、プラグインを使用している場合は、バージョンアップに伴うコストも上乗せされて来ます。FCPXであれば、プラグイン代だけを意識していればいいのです。

コストだけが選定理由にはならないと思いますが、多くの収録メディアがファイル収録に変わっていきている今、VTRが扱えない事はもはや問題ではありません(VTRが必要になった場合代用手段もあります)。コストが気になっている人は、一度自分がそのソフトウェアを使うであろう期間を考えてトータルコストで比べてみてはいかがでしょうか。

:金額は2017年3月現在の価格による比較です。

日本でも販売開始教育機関向けPro Appバンドル

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先日紹介した、米国Apple Education StoreでのPro App Bundle 販売ですが、日本の学生・教育機関向けApple Education Storeでも販売が始まりました。金額は¥22800(税別)です。日本円だと全部合わせて¥74200です。米国だとLogic Pro Xと同額でしたが、日本ではLogic Pro Xより1000円安い金額となっています。「教育機関向けPro Appバンドル」という名称で販売されています。

米国同様、購入するとコンテンツコードがメールで送られてきてApp Storeにそのコードを入力してダウンロードする仕組みになっているようです。
学生の皆さんはこの機会に購入し、ユーザが増えることを期待したいですね。

Final Cut Pro X(10.3)でプロキシ編集と素材の管理、HDDの容量を考慮した作業フロー

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以前も似た様な記事「FCPX(10.0)でいわゆるプロキシ編集と素材を一括管理」を書きました。改めて読むと少し雑な感じがしたので、再度整理して記載します(タイトル時のFCPXのバージョンを追記しました)。

FCPXでは、AVCHDやMXF、MP4等ネイティブで扱えますが、カラーコレクション等の処理を行いたいのであれば、ProResに変換して読み込むことをお勧めします(ProRes 422 HQ以上が望ましい)。

しかし、ProRes422HQはAVCHD、MXFやMP4に比べて容量が大きくなるため素材が多いと全ての素材をいきなり変換すると、使用してるストレージの容量を相当食うことになります。一般的には
・素材は多いが全て使うわけでは無い
・全ての素材を変換しているとレンダリング時間がかかる
という諸問題が考えられます。

これを解消するには、
・容量の軽い素材(プロキシ素材)を使って、編集
・その結果使用する素材が決まったらその分だけProRes422HQレンダリング
・レンダリングした素材をタイムラインに付け直し
というフローを構築する必要があります。

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学生向けにAppleのプロアプリのバンドル版が販売開始

pro-apps-bundle-for-education

2017.02.10更新
国内でも学生版の販売がApple Education Storeで開始されました。
日本でも販売開始教育機関向けPro Appバンドル

米国のオンラインApple Education StoreFinal Cut Pro XMotion 5Compressor 4Logic Pro XMainStage 3をバンドルしたPro Apps Bundle for Educationを販売しました。価格がこの5本入って$199.99です。全部まとめて普通に買うと$629.95です。Final Cut Pro Xだけでも$299.99ですから、相当お得なパックですね。

ただし、Education版なので、購入出来るのは学生限定です。さらには、日本のオンライン Apple Education Storeでは、取り扱いは始まっていないようです。今日が土曜日ですから週明けから始まるのでしょうか?それとも、アメリカ限定でしょうか?是非日本でも始まってほしいです。
Apple Storeで購入するとダウンロードクーポンが送られてきて、それをApp Storeで入力してダウンロードする仕組みのようです。

プロアプリがこのような動きを見せたのはなかなか興味深いです。と、同時に学生に向かってこのようなパックを出すことは、学生に学ぶ機会を与えてユーザを確保するという点でも大事ですね。最近は各社学生向けだと無料だったり、かなり格安だったりといったプランを出してユーザ確保を務めていましたが、Appleとしては学生向けという点でプロアプリのソフトウェア販売にはほとんど力を入れていなかったので、このようなアプローチを出したことは新しい動きですね。

App Storeでアプリのバンドルパックが買えるようになったのもこういう動きを後押ししていると思います。が、バンドルパックは2014年の秋から始まったサービスなので動きとしては少し遅く…この時期にこういう販売を始めたのは気になる所です。

さて、学生向けとは言え、このバンドルパック販売が示しているのはなかなか興味深いです。というのも、かつてFinal Cut Studio、Logic Studioと販売していましたが、このPro Apps Bundle for Educationが指し示すものは将来的にPro Apps Bundleが販売されるのではないか?と期待させてくれます。最近のクリエイティブ、プロアプリ系は単独販売もするがバンドル販売によってユーザを囲む方法が多いので、ユーザを増やす意味でもこのPro Apps Bundleが販売されることにも期待したいです。

Final Cut Pro X(10.3)での素材の扱いについて

以前作成した記事「Final Cut Pro Xの素材の扱いについて」は、FCPX10.0の時に作成した内容で、その頃からみると最新のFCPX 10.3は素材の置き場所について仕様が変わったので、改めて記載したいと思います(混乱を避けるため旧記事のタイトルに “Final Cut Pro X(10.0)の素材の扱いについて” とバージョン番号を加えました)。

ライブラリの置き場所に制約がありましたが、10.3ではローカル、外付けHDD、SAN、SMBで接続した共有フォルダに作成できるようになったので、以前に比べるとかなり自由度は増した様に思うはずです。

素材自体は以前より外付けストレージやSAN等にも置けており、そこの仕様は変化していません。
読み込んだファイルは、以前と同じようにライブラリの中に内包させるか(コピー)、そのままにするかを選ぶことができます。

fcpx-file-place

FCPXの環境設定を開くと
 ○ライブラリストレージの場所にコピー
 ○ファイルをそのままにする
からどちらかを選びます。

上記2つの違いを確認してみましょう。

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Final Cut Pro X 10.3 ライブラリについて

fcpx-library


Final Cut Pro Xの素材の扱い方については以前(FCPX 10.1の時)も記事にしてきました。
先日リリースされたFinal Cut Pro X 10.3に合わせて再度整理したいと思います。
FCPXは、旧FCP7や他のノンリニア編集ソフトと違い、編集ファイルはありません。”ライブラリ”という編集情報やメタデータ等々がパッケージ化(コンテナ化)された集合体のフォルダ(パッケージ)を中心に扱います。

余談 : 保存したパッケージ上で右クリックをすると、メニューにパッケージを表示と出るのでその中を見ると沢山のファイルがあることがわかると思います。ライブラリという仕組みはmacOSのアプリケーションも同様の仕組みになっています。

FCPXのわかりにくい部分ですが編集しようと、メニュー > ファイル > 新規 > とやると、

FCPX メニュー プロジェクト イベント ライブラリ
FCPX メニュー プロジェクト イベント ライブラリ


・プロジェクト…
・イベント…
・ライブラリ…
と出てきます。まず、この順番が良くない・・・。

それぞれは一般的な編集ソフトの例に例えると以下になるとお考えください。

・プロジェクト = タイムライン(シーケンス)
・イベント = ビン
・ライブラリ = プロジェクトファイル(編集情報)

そして、最初にライブラリを作らないとFCPXは始まりません。

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Final Cut Pro X 10.3.2 / Motion 5.3.1 / Compressor 4.3.1がマイナーアップデート

proappsupdate


LogicPro Xが先日10.3になったのと連携してか(直接の関連性はアップデート項目に見えてこないが)、Final Cut Pro X、Motion、Compressorのマイナーバジョンアップが提供されています。
アップデート内容は以下の通りとなっています。
パフォーマンス改善の内容ばかりですが、機能追加も大事ですが、パフォーマンスもそれと同じくらいか、場合によってはもっと重要なので、ちゃんと改善されたバージョンをリリースしてくれるのは助かりますね。

Final Cut Pro X 10.3.2

  • オーディオファイルのカスタムフォルダをサウンド・エフェクト・ブラウザに追加できます
  • オーディオのみのクリップでリップル削除を使っても、選択範囲が無効にならなくなります
  • 再起動後もオーディオメーターのカスタム幅が保持されます
  • 非常に長いプロジェクトの編集時のレスポンスが改善されます
  • H.264ファイル書き出し時およびフレームレート変更時のパフォーマンスが改善されます
  • Compressorを使ってProRes 4444ファイルを透明度付きで書き出すときに、正しいアルファチャンネルが作成されます
  • 複数行タイトルの行間に対する調整が最初の行のみに適用される問題が解決されます
  • ロールが混在する第2のストーリーラインがタイムライン内で重なる問題が解決されます
  • Apple USB SuperDrive経由でFinal Cut ProプロジェクトからDVDを作成できない問題が解決されます

Motion 5.3.1

  • 複数のカメラビヘイビア使用時の安定性が改善されます
  • H.264ファイル書き出し時およびフレームレート変更時のパフォーマンスが改善されます
  • “タイムコード”テキストジェネレータ使用時の安定性の問題が改善されます
  • 再生時にカーソルがマーカー上を動くときの安定性の問題が解決されます
  • ナッジ・キーフレーム・ショートカット使用時の安定性の問題が解決されます

Compressor 4.3.1

  • 分散エンコーディング使用時にフェードイン/フェードアウトフィルタが正しく適用されます
  • ダブルバイト文字の言語の使用時にディスク名およびタイトルが正しく表示されます
  • “ターミナル”経由でCompressorの使用時にロケーションパスが考慮されます
  • H.264ファイル書き出し時およびフレームレート変更時のパフォーマンスが改善されます
  • Compressorを使ってProRes 4444ファイルを透明度付きで書き出すときに、正しいアルファチャンネルが作成されます
  • Animation、PNG、Cinepak、WMVを含む32ビットコーデックを使用してファイルを処理できない問題が解決されます
  • Touch Bar上のマーカーボタンが正しく表示されない問題が解決されます
  • Apple USB SuperDrive経由でFinal Cut ProプロジェクトからDVDを作成できない問題が解決されます

すでにソフトを持っている方はApp Storeから無償でアップデートできます。