動きだした、iCloud

13日未明(アメリカ時間12日朝)、WWDCで発表されたiCloudが、やっとサービス開始になりました。今までクラウドと言うとエンタープライズ寄りなビジネス市場が主戦場だったと思いますが、iPhone、iPad、Mac、Windowsと連携する本格的なパーソナルに(気軽に誰でも)クラウドが本来持つ「それが何であるか」を意識する事なく利用出来るサービスが登場したと言えるかもしれません。少しオーバーな表現だったでしょうか。

さて、そのiCloudですが日本ではiTunes Matchが使えませんが、個人的にはそこに期待してたわけでは無いので、ガッカリというのはありません。これからのクラウド時代に向けての権利問題をしっかりと洗い出して、合意に至ってくれればと思います。
個人的に注目は、ここでも何度も触れているのですが、カレンダー、アドレスブック、つまりCalDAV、CardDAVサーバとしてiCloudを使える事です。iCloudの前身、MobileMeがiCloudに統合された事で、かつて有料だったサービスが無料で使える様になったのです。
CalDAV、CardDAVサーバの利便性は何度かここで書いていますが、クラウドを介して複数の機器で同じ情報を共有出来る事にあります。
外にいる時はiPhone、iPadで、家または会社にいる時はMac/PCからカレンダー、アドレスブックを編集すれば、他の機器でも同じ情報を反映出来るのです。
・もし、あなたが頻繁にiTunesと同期を行っていたのなら、それらから開放されることになります。
・もし、会社のマシンもOutlookを使って連携させたいと思っているなら、それを行う事が出来るでしょう。
・大事なデータが消えるリスクを心配しているなら、Appleによって保護されたストレージがあなたのデータを守ってくれるでしょう。
色々クラウドにする事で便利になる事が出てきます。iCloudは、それを簡単に享受出来るサービスなのです。それも無料で。
フォトストリームやiTunes Matchは、クラウドサービスをより魅力的にする機能の一つというだけで、本質的にはiCloudが目指す何処でも同じ環境を作り出しているだけに過ぎません。
ただし、CalDAVやCardDAVのように規格化された方式では無いため、Appleが提供するAPIを通してしか利用出来ません。一般的な規格を必ず使う必要も無いので、独自規格であってもiCloudの価値を落とすわけではありません。

iPhone4 & 4S

さて、そのiCloudで個人的に一番魅力的に見えるのが、CalDAV、CardDAVサーバとしてカレンダー、アドレスブックと連携して使える事。
既に個人的には、同種のサービスを運用しているとはいえ、広く多くの人にCalDAV、CardDAVサーバの便利さを体験してもらえるのは嬉しい事です。多くの人がCalDAV、CardDAVサーバを知らないでしょう。しかし、それを意識する必要はありません。ただ、便利だと思ってくれればと十分だと思っています。テクノロジーが出しゃばらないのがAppleのいいところでもあり、クラウド自体の思想とも合っていると思うのです。
まずは、iCloudを有効にして、カレンダー、アドレスブックでクラウドの便利さを体験して下さい。

無料でもらえるメールアカウント(@me.com)もまた同様です。IMAP方式のメールシステムなので、カレンダー、アドレスブック同様、メールも設定すればいずれのデバイスからも同様に同じ内容を確認出来ます。

iCloudが提供している全てのサービスは、どのデバイスからでも、同じデータを共有出来るのです。
MacにiPhone、iPad、iPod Touch等々様々なデバイスが増えればそれだけ、データの扱いが散漫になって行きます。iCloudは、この散漫になるデータをiCloud上に集約させ、その時々で使っているデバイスに左右されない仕組みを提供してくれるのです。

同じく過去に何度も書いているOTA(Over The Air)についても、iOS 5からのPC FreeになるだけがOTAではなく、クラウドここではiCloudによって、真のOTA化、PC Freeが行われた事になるのです。iOS 5の価値はiCloudがあって、初めて生きてくると思います。

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