「が」と「で」 その3

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シェアにこだわれば「が」なユーザも大事だが「で」なユーザが必要だ。実際は、多くのユーザが「で」によってブランドと結びつき、シェアになっている。

LINE「で」十分。
iMessage「が」いい。

これは、好みが分かれる問答か。

LINE「が」いい。
iMessage「で」十分。

どっちも真実である。
ただし、メーカーが目指すべき方向は明快なはずだ。

規模の経済によってコストを下げることができるのも経済の仕組みとしては基本的な事なので、一概にシェアを求める事が悪いことではない(その結果我々消費者が買うデバイスやソフトのコストは下がるので)。ただし、先にシェア拡大を求めるが故に、コストダウンをはかってチープになるのは、ブランドを傷つけるだけである。多くの人が求めていった結果、シェアが増えて、その結果で次の製品のコストが下がる。それが健全であり、何かを失う事なく、コストダウンが出来る。Appleがやって来たのはそういう当たり前な戦法を淡々とやって来ただけとも言える。だから、彼らはよくシェアは大事じゃないという。プロダクトが大事で、ユーザの体験が損なわれていないかを気にする。

同じブランドの中でも「で」なユーザがいる事で、シェアが増えてコストが下がる恩恵は結果的に「が」なユーザにも返ってきている。Appleはその「で」なユーザから「が」なユーザを少しでも増やそうと努力する。それは “体験” によってである。
ユーザが体験してブランドとの結びつきが生まれる。その結果Apple「が」好きなユーザが生まれる。

Appleの求める物はここにある。

Book "Design of Design", Kenya Hara

3回にわたって、「が」と「で」について書いてみた。少し古い本だが、原研哉さんの「デザインのデザイン」(2003年10月初版)という本を読んでいて、その中で「が」と「で」について書いてあり(第四章 “ないもないがすべてがある”内 「が」ではなく「で」)、色々思うところも多く自分なりに「が」と「で」について考えてみた。
仕事でシステムを作るとき、ユーザのリクエストを元にしすぎると「これでいい」物が出来るけど、すぐに不満が出る。「これがいい」というレベルの物をいかに生み出せるか?(見えないニーズを掘り起こしたり等)に苦心するわけだが、まさにこれもまた「が」と「で」であるなと(「が」でも不満は出てくるのだが、得てして問題を受け入れてくれやすい)。
「で」が悪いわけではない。なんでも「が」だと、肩張って疲れるだろう。ここ「で」いい、ここ「が」いい。カフェに入って一休みしたいだけなのに、「が」な場所を探すあまり、全然店には入れず、いい店も見つからずでは、意味がない。それが一人じゃなかったら…。そういう意味では、「で」も大切だ。

と、今書いていて思いついた。Appleは、プロダクトのラインナップも少ない。だから、これ「で」いいが生まれにくい。選択肢が少なければ、これ「が」いいに自ずとなって行く。なるほど、そこも考えられている。Androidは数がありすぎて、これ「で」いいという人が多いんじゃないだろうか。Windows「で」いいと同様である。「で」があるから「が」が差別化されて目立ってくる。テックユーザではない人から、「が」で選んでもらえるように、Appleという会社は今日も人々と向き合い続ける。

「が」と「で」を巡る旅はなかなか面白い。

BAY LANDING HOTEL (2016アメリカ旅行)

BAY LANDING HOTEL, San Francisco
サンフランシスコからの移動は朝9:00の便だったので、空港近くにホテルを探して、そこに一泊しました。Expediaなどから探して見つけたのがBAY LANDING HOTELでした。空港近くなのでサンフランシスコ市街からは離れた場所です。今回は早朝便を乗るために前日に夜に空港近くに行っておくのが目的だったので、安く泊まることがメインでした。


1550 Old Bayshore Hwy, Burlingame, CA 94010

BAY LANDING HOTEL, San Francisco
BAY LANDING HOTEL, San Francisco

そこで探したのがこのBAY LANDING HOTELでした。
金額的には確かに安くて一泊2万もしませんでしたが、十分なホテルでした。ベッドも十分なサイズでゆったりです。部屋のサイズは、場所が場所なだけに土地に余裕がある場所なので、結構部屋は広いです。
ちゃんとホテルにはWi-Fiも飛んでおり、十分なスピードで使えました。
写真を撮り忘れたのですが、朝はロビー奥の場所に朝食が取れるダイニングエリアがあります。ホテルというかモーテルに近い感じのホテルなので、この手のアメリカのホテルによくある自分でパンを焼いたりワッフル作ったり等々をする必要があります。ジムもありました。

BAY LANDING HOTEL, San Francisco
BAY LANDING HOTEL, San Francisco
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「が」と「で」 その2

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前回

HERMES「が」いい人。
UNIQLO「で」いい人。

本当はHERMES「が」いいんだけど、UNIQLO「で」いいとなる人。
経済的事情もあって現実的にはそういうふうに選ぶ人は多い。

と、書いた。
誤解して欲しく無いがUNIQLOがダメだと言っているのでは無い。僕はUNIQLOの服が多い。

UNIQLO「で」いい。

というのには、非常に複雑な「で」が含まれている。

HERMESがいいけど、UNIQLO「で」我慢する人。
服にこだわりがなく、ひとまずUNIQLO「で」いい人。
なんでもよくて、今日はUNIQLO「で」いい人。

いろんなレベルの「で」がある。
だから、「が」なユーザが欲しい。

UNIQLOは、高級路線では無いがブランド力は存在している。
価格帯に対してデザイン力とモノの良さがあるからこそ、幅広い層に対してリーチ出来てもいる。ただし、同じファストファッション系のライバルもいっぱいいる。

一昔前のAppleは、ぎりぎりブランド力はなんとかあって、価格が高かった。
しかし、Tim Cook率いるチームの努力で製造コストが下げられ、多くの人に行き渡る価格帯になった。
(もちろんJony Iveのチームがして来た功績があっての話である事は言うまでもない)
低コストで作るノウハウは他社も研究し広がり更にコストを抑えて作ってくるメーカが出てきて、コスト競争は熾烈な状況になった。
でも、Appleは意味ないコスト競争には参加しなかった。良い物を低価格で届ける努力はするが、Apple製品が “安く見える” 様なコストダウンは行わない。だから、製品が梱包されいるケースは簡素にしないし、製品そのものの素材はこだわる。製造過程などを見つめ直して、コストダウンは努力する。そこで勝負して、良い物を作りユーザに届ける。Appleは”価値”を落とさない努力をして、「が」なユーザを増やす。
基本的には定価で出した製品は、モデルチェンジがあるまで設定価格は変更しない。発売日に出た製品も、次の製品が出る前日までの製品でも、価値は一緒であることを示すためである。
価値を維持する事も「が」なユーザを増やし、ブランド力を維持する事となる。

「が」なユーザは忠誠度が高く、離れる事は少ない。
「で」なユーザは移り気だ。

今日はこっちかもしれないが、明日はわからない。
「が」なユーザは、今日も明日も同じでいてくれる。
もちろん、「が」であり続けてくれる為に努力はする。
Apple Pay、Final Cut Pro X、iTunes、Apple Music等がユーザを「が」でいて続けてくれる為のツールになるし、そういう魅力的なものを出し続けてユーザが離れない努力もする。

ブランドに居続けてもらうためには体験が何よりも大事だ。
そのブランドを選んで良かったと思える体験である。

ブランドとは高いからいいわけでもなく、安いからダメということでもない。
各々の意思に従って選んで構わない。
その意思に従って選ばれた集合体がブランドでもあると思う。

みなさんが持っているものは「が」な物と「で」な物どちらで選ばれた物でしょうか。

学生向けにAppleのプロアプリのバンドル版が販売開始

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2017.02.10更新
国内でも学生版の販売がApple Education Storeで開始されました。
日本でも販売開始教育機関向けPro Appバンドル

米国のオンラインApple Education StoreFinal Cut Pro XMotion 5Compressor 4Logic Pro XMainStage 3をバンドルしたPro Apps Bundle for Educationを販売しました。価格がこの5本入って$199.99です。全部まとめて普通に買うと$629.95です。Final Cut Pro Xだけでも$299.99ですから、相当お得なパックですね。

ただし、Education版なので、購入出来るのは学生限定です。さらには、日本のオンライン Apple Education Storeでは、取り扱いは始まっていないようです。今日が土曜日ですから週明けから始まるのでしょうか?それとも、アメリカ限定でしょうか?是非日本でも始まってほしいです。
Apple Storeで購入するとダウンロードクーポンが送られてきて、それをApp Storeで入力してダウンロードする仕組みのようです。

プロアプリがこのような動きを見せたのはなかなか興味深いです。と、同時に学生に向かってこのようなパックを出すことは、学生に学ぶ機会を与えてユーザを確保するという点でも大事ですね。最近は各社学生向けだと無料だったり、かなり格安だったりといったプランを出してユーザ確保を務めていましたが、Appleとしては学生向けという点でプロアプリのソフトウェア販売にはほとんど力を入れていなかったので、このようなアプローチを出したことは新しい動きですね。

App Storeでアプリのバンドルパックが買えるようになったのもこういう動きを後押ししていると思います。が、バンドルパックは2014年の秋から始まったサービスなので動きとしては少し遅く…この時期にこういう販売を始めたのは気になる所です。

さて、学生向けとは言え、このバンドルパック販売が示しているのはなかなか興味深いです。というのも、かつてFinal Cut Studio、Logic Studioと販売していましたが、このPro Apps Bundle for Educationが指し示すものは将来的にPro Apps Bundleが販売されるのではないか?と期待させてくれます。最近のクリエイティブ、プロアプリ系は単独販売もするがバンドル販売によってユーザを囲む方法が多いので、ユーザを増やす意味でもこのPro Apps Bundleが販売されることにも期待したいです。

「が」と「で」

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iPhone「が」いい。
iPhone「で」いい。

Windows「が」いい。
Windows「で」いい。

たった1文字だが「が」と「で」では印象が大きく異なる。
iPhone「が」いい人の方がiPhone「で」いい人より多そうだが、Windows「が」いい人より、Windows「で」いいという人の方が多そうだ。
そういうイメージで合っている様な気がする。

Appleを選んでいる人は、この「が」な人が多いと思う。
ユーザが主体性を持って選んでいるのは、まさにブランドと言っていいだろう。

CHANEL「が」いい人。
CHANEL「で」いい人。

圧倒的に「が」な人が多い事で間違いない。

しかし、世の中を俯瞰してみると、「で」な人の方が多い。

HERMES「が」いい人。
UNIQLO「で」いい人。

本当はHERMES「が」いいんだけど、UNIQLO「で」いいとなる人。
経済的事情もあって現実的にはそういうふうに選ぶ人は多い。

「が」で選ぶ人を増やせるか?
それこそが、Appleが求めてるユーザだ。
Apple PayもFinal Cut Pro XもiTunesもApple Musicも、Apple「が」な人を増やす為の入り口である。

iPhone「が」いい人。
iPad「が」いい人。
Apple Watch「が」いい人。
Mac「が」いい人。

あなたはどっちだろうか。

拝啓富士フイルム様、X100Sに今一度ファームアップデートを

Tokyo, Photo.
X100Fの発売まで一ヶ月を切り始めていると思いますが、もともと富士フイルムのカメラはファームアップデートによってカメラが進化していくというのも一つのウリだったと思います。だからこそ、過去にXQ1の時も書いてきましたが、X100Fが発売される今だからこそのお願いとしてX100Sをファームアップデートしてクラシッククロームの搭載をお願いしたい。

Tokyo, Photo.

X100Fは、X100Tと比較するとわかりやすい部分で解像度も増し、細かい点で色々使い勝手の面で進化している。すでに2世代古い機種となるX100Sだが、X100Fが出てきたときに書いたようにまだまだ僕的にはX100Sは十分使える。2013年3月にX100Sが登場しているから、間も無く4年経つことになる。デジカメという入れ替えが激しい世界で10万ちょっとするカメラが発売から4年経つのに未だ十分使えるという状態は、なんともポテンシャルの高さを実感させてくれる。それだけ、富士フィルムのカメラの良さ、凄さを実感させられる。だからこそ、このカメラが好きだからこそ、富士フィルムさんにはお願いしたい、X100Sをファームアップさせてクラシッククロームを搭載させて下さい、と(X100Fを売る都合難しいことも理解は出来ますが…)。
ACROSがプロセッサ的に無理だという話は知ってるので望みません。ですが、あえて今だからこそ、X100Sにクラシッククロームを載せませんか?富士フイルムのカメラへの想いをあえて古いX100Sにもあらためて分けて欲しいと思ったのです。

Tokyo, Photo.

フィルムカメラ全盛期、カメラが発売された後に登場したフィルムも使って新しい色を見る事が出来たと思います。カメラの進歩とフィルムの進歩は別でもありました。デジタルカメラでは、そうはいきません。フィルムに代わる部分としてセンサーとプロセッサがありますが、カメラに一体となってしまっています。だからこそファームウェアアップデートによって、X100Sにもう一度と思うわけです(もちろんXQ1にも)。

Tokyo, Photo.
Tokyo, Photo.

富士フイルムさん、考えて頂けませんか?

Tokyo, Photo.
Tokyo, Photo.
Tokyo, Photo.
Tokyo, Photo.

All shots by FUJIFILM X100S.